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音のない朝のことや、影が青く伸びる午後のことを、ぽつぽつと書きとめておく場所。短い便りと、いくらか長い文章が混ざります。気が向いたときに、栞を挟むようにして読んでいってください。

雪の朝、柵の上のかささぎ

窓を開けると、まだ夜の匂いがうっすらと残っていて、庭の柵に一羽のかささぎが止まっていた。音のない朝、というのはきっとこういう日のことを言うのだろうと思った。雪は降りやんでいて、東の空はうっすらと暖かい色をしていた。

かささぎは しばらく身じろぎもせず、まるで景色のほうが動くのを待っているように見えた。庭の影は青くひいていて、地面のほうがむしろ温かい白に見える。光と影が逆になったみたいな朝で、しばらく、台所に戻るのも忘れていた。

The shadow is not the absence of light — it is light, of another colour. — a note, somewhere in a sketchbook

影が青いのは光の色のせいだ、という話を以前どこかで読んだ。あれを 本当だな と思ったのは、今朝この景色を見て、ようやくだった。

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柵の向こうの遠い灯

日の落ちかける頃、塀の向こうにぽつりと灯がついた。誰か早めに帰ってきたのだろう。台所の窓らしい、温かい色のあかり。家々の輪郭が薄い藍色に沈んでゆく時間で、その一点だけが浮かんで見えた。

こういう時間に外を歩くのが昔から好きだ。誰の生活でもないのに、街全体がひとつの家のような気がしてくる。風はもう冷たくて、息は白い。コートの襟を立て、しばらく立ち止まって眺めていた。

角を曲がる手前で、二階の窓にもう一つ灯がともった。ふたつ並ぶと、それはもう 誰かが帰ってきた という事実のようで、私もそろそろ家に戻ろうと思った。

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青い影について、いくつかのメモ

雪の上の影が青く見えるのは、空の青がそこに落ちているからだという。光は黄色く、影は青く、その二つの色が混ざらず、隣り合って雪の上にある。これを最初に絵に描き留めた人は、たぶん少しだけ怖かったんじゃないかと思う。世界はずっとそう見えていたのに、誰もそう描いてこなかったのだから。

近頃、自分の文章にも 同じことをしたい と思っている。ずっとそこにあったのに、誰も書き留めなかった色のようなものを、なんとか言葉に置き換えること。うまくいかない日のほうが多い。

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短編『冬の便り』第二章を更新しました

長らく止めていた連載を再開しています。今回は冬の場面が長くなり、章のあいだに季節がもう一つ過ぎることになりそうです。引き続き、ゆっくりとお付き合いいただけたらうれしいです。

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季節と、影と、家のあいだの光について書いています。短い便りと、いくらか長い文章を、行き来しながら。返信のいらない手紙のように受け取っていただけたら。

— 鵲

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